仕事って、そのことを考えるとウキウキ、ドキドキ、ワクワクするほどは楽しくないけれど、かといって、苦行・苦役、何かの罰ゲーム、それほどイヤーなものではない。
「飲まなければいけないちょっと苦い薬」、そのくらいかな?
「おまえが過ごした時間はすべてムダ。なんの役にも立っていないんだよ!」
そう言われたのは、1984年の5月のことだから、もう35年近く前の話だ。新卒で入社した初めての職場、新入社員の一般研修が終わって事務系や技術系、それぞれ配属も決まり、数週間たったころ、同期数人と喫茶店でお昼を食べていた。
配属されてもなかなか仕事の内容がよく分からず、いわれた書類も先輩の未決箱にはいったまま、そんな言葉は当時はなかったけれど、「放置プレイ」なんだよな...... みたいな話を、ゴハンを食べながらぼくはしたんだと思う。
すると別の部門に配属された一人の同期が;
「配属されてから今日に至るまでの数週間という時間を、お前は一体何をやっているんだ! その時間は全部ムダ、ムダなんだよ!」
と急に大声でわめき出し、ぼくをなじった。
言われたときは、単にキツイ冗談を言っているんだと思い、テキトーにはぐらかした記憶がある。
実際、彼がキツイ冗談を言い放ったのか、本気でぼくにハラを立てたのかは今では分からないし、知りたくもない。その後のそいつの生き方をちょっと距離をおきつつ観察していると、まんざら冗談だったわけでもなさそうでもある。
以来、三十数年間ずっとサラリーマンやってきて、ムダなこと、回り道もずいぶんとしてきた自覚はある。そんな時間を合算すると数週間のどころの騒ぎじゃない。
累積すると膨大な時間になりそうだ。
でもさ、苦役、苦行だったとは思えない。まあまあは楽しかったぜ。