M&Aのリーガル・デューデリジェンスとは違って、コンプライアンス監査では、全貌を徹底的に洗い出すことは不可能。サンプル調査であるから当然のこと。だってせいぜい数人のチームで、一日、長くて二日の現場監査だもの。M&Aのような徹底したデューデリは到底無理ですよ。現実にできる範囲で、できるだけカバーするようにする。
本当の意味で、デュー・デリジェント = 正当な範囲で入念に、ということです。
最初に海外のとある工場の監査に出かけたとき、担当者は分厚いチェックリストを手元に監査をすすめていたのだが、夕方になってもいっこうに終わりそうにない。
いつまでやるの?
チェックリストをネット情報の見ようみまねで作った担当者本人がどこまで、どんな精度でやって良いのかわからないのだ。30台半ばの人だったかな。
法令遵守・人権尊重が一つのテーマであったコンプライアンスの観点からの工場監査なんだもの。時間外勤務、休日/有給休暇取得、給与、社会保険、労働安全対策、生活環境(社員寮や社宅)、社員食堂と食事内容、そんな重点項目のサンプル調査を行えば良いんだよ。
16時30分まで。その後30分でラップアップ 。工場の勤務時間内に終えなさい。コンプライアンス監査で残業を強いるのはあり得ませんから。
誰かがそう言ってあげなければならなかったんだろうし、それは上司であるぼくの役割だったと思う。経験のない担当者としては、思っていても言えないのだ。
訪問先で対応してくださる方々に、監査のために残業などさせるべきではない。時間外労働や社員の負担を出来るだけ減らしなさいって指導してるんだもの。
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仕事が終わらないから残業をする。そんな考え方もあるんだろう。今のぼくのようなフリーランスや自営業、それに経営者ならね。しかし時間になったら仕事を終える、そんな働き方もあるのだ。月給をもらって、残業代も申請できるサラリーマンなら当然そうですね。
『成果が出るなら何時に帰っても良い。例え14時に退社してもOK』なんていう経営者がいる。間違いだ。『成果が出ようと出まいと、就業時間までいて、時間になったら退社する』それが正しい。
なぜなら:
『成果が出るなら何時に帰っても良い』が正しいなら
『成果が出ないなら、何時になっても帰るな』も正しいのさ。それでいいの?
裏・逆・対偶のどれだったっけ?
© 朽木鴻次郎
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