朽木事務所

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任天堂で学んだ「リスペクトフル・アプローチ」

任天堂の岩田さんにはいろんなことを教わりました。その一つに、一緒に働く仲間に敬意を払う、彼/彼女らの「人間としての 存在を認める」というスタンスもその一つです。 岩田さんのユニークなこと は、他人を尊敬しその存在を認める(respect & recognition)という態度は、単にそれが人として正しい態度であるからとか、道徳的/倫理的であるからという「ソフト」な面に着目したからではなくて:

・多様な人間の多様な価値観を取り込んで仕事をした方が
・自分とは異なる人間の長所、それは自分にはない長所だから、それを取り入れた方が
・より結果の可能性が広がる、という
・合目的性に着目したご意見であったということでした。

このように、職場での人間関係で相手に対して敬意をもつこと、すこしカッコつけて英語にしてみると*1、リスペクトフル・アプ ローチ(respectful approach)には、次の点に効果が大きいと改めて気がつきま した。
・誰もが安心して力の発揮できる職場を作る
・効果的な教育訓練の場を作る
・指示を受け入れてもらえる土壌を作る
・部分最適ではなくて、全体最適にチームを導く
・交渉相手の内在的論理や隠れた/隠された合意可能領域や代替案を探る

リスペクトフル・アプローチはその単体で研修の主テーマとするのではなく、他の主テーマと組み合わせて「他人を尊敬しその 存在を認める」という観点での説明を付加すると効果大きいものです。

例えば、ハラスメント(パワハラ)研修であれば:
・パワハラにならないコミュニケーション
→ NGワード(「なんで!」「いつもそうだ!」)を避ける
→リスペクトフル・アプローチを採用する
→モヤモヤ感フィルター(無自覚な思い込み)を避け「これからの対処法に向かう」

例えば、交渉の理論と実践の研修では:
・相手の想定する合意可能領域や代替案、内在的論理を探るために
→リスペクトフルアプローチが有効である

リスペクトフル・アプローチを組み合わせる「メイン・テーマ」の例としては次のものが考えられます。
・マネジメント研修
・リーダーシップ開発研修
・教育訓練
・プレゼンテーション研修
・交渉/折衝/調整
・ハラスメントの排除
・無自覚な思い込み(無意識のバイアス)をなくす
・多様性、公平性と包摂

とても汎用的なビジネス/マネジメントの教えだと思っています。

岩田さんが私たちに教えてくださった「リスペクト」は、価値観の本質から、経営マネジメントの合理性や合目的性を解くという実にユニ ークであり深い意味を持ったものだったと私は理解しています。

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・あだ名で呼び合うのはやめましょう!
・相手を傷つけるような言葉はよくないです。
・たとえ部下でも「さん付け」「デスマス調」で話しましょう。

相手に敬意を持つこと、大事に思うこと。それは私も、中央区立常盤幼稚園の頃、若林先生*2から教わってきたことです。

しかし、岩田さんは、そうではなくて:
・理不尽にも思える相手の価値観を
・面白い、ととらえ
・尊敬と敬意を持って接すること
これをマネジメントの合理性、経営的側面からの合目的性から教えてくださいました。

ここはしっかりと説明しないと、単に幼稚園での倫理道徳(それもとっても大事ですが)と同じになってしまい
・ふーん、だからなに?当たり前のことじゃん?

となってしまうので注意が必要です。

ちょっと長くなりましたが、長くなってもきちんと説明しないと、その価値が伝わりません。 同じく、以下の別ブログもご覧いただけると嬉しく思います。

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*1:岩田さんは「洒落た言い方や横文字(英語はご堪能な方でしたが)」がお嫌いなので「敬意と尊敬、人格を認める」コミュニケーションとだけおっしゃっています。 それをリスペクト&リコグニション、とか、リスペクトフル・アプローチ、としたのは不肖・朽木です。その方がキャッチーですので。

*2:すてきな女性でした。いまでもお顔を思い出せます。