朽木事務所

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仕事にしがみついて・街のネズミ

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熊本城 2015年

 

数年前の暮れのことだ。同級生の有志が集まって、忘年会みたいなことをした。その流れの二次会で、某金融系の会社に勤めている友人がこう言った。

おまえ、オレが今の仕事に「しがみついてる」って思ってるんだろ?

 

ぼくは全くそんなことを考えたこともないので、酔いも覚めるくらいびっくりした。 

それでもな、会社の部下や若手には、他所に行っても通用するスキルを身につけろ、っていつも言ってるんだ。

彼は役員にこそなれなかったけど、90年代以降の金融再編の荒波を乗り越えて、その会社の主流生え抜きで生き延びている。もちろん運もあるけれど、そーとーな能力がなければできることではない。

ぼく自身、最初に就職した会社が今も存続していたら、つまり「世が世であれば...」と時々空想はする。何回も転職したし、早期退職もしたけど、「それしか、その方法しかなかったから」しただけのこと。酒も入った同級会の二次会で話す話でもない。しらばっくれて、話題を変えた。

 

 「仕事にしがみついて」っていう言葉は軽々しく弄んではいけない。しがみついてでも仕事から離れてはいけない状況はあるし、多くの場合がそうだと思う。

もしかしたら、彼に対して「仕事にしがみついてる...!」と言う陰口や悪口を言うヤツが職場にいたのかもしれないな。だとしたら、くだらねえこと言いやがるもんだ。

最近は「仕事をしないオヤジ世代」などとあまりに軽々に揶揄されすぎだと思う。言われる身にもなってみなよ。

 

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どどんと、桜島どん!

翌年の年明けに彼から年賀メールが来た。

暮れにはつまんないこと言っちゃったな。今年もしぶとく行こうぜ!

 

そう書いてあった。学生の頃の彼の屈託のない笑顔を思い出したよ。

そうそう、しぶとく、しぶとく行こうよ。

街のネズミも田舎のネズミもネズミはネズミ。

 

(特定されないように設定にはフェイクを入れています。そして「彼」の許可を得た上での投稿です。)

 

© 朽木鴻次郎
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