朽木事務所

企業研修講師・わかりやすくて、ためになり、何よりも楽しい

慣れたるは及ばざる一知半解の徒

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初の海外赴任、マレーシアに着任して半年ほど過ぎた頃、確か、20代の半ばだったと思います。1986、87年くらいのことかな〜

現地国有企業との年次大会議の終了後、参加者・関係者一同が会しての大パーティを行うことになったんです。

設営の担当者は、私。 

 
「カジュアルな感じで、現地政府のいろいろな方々と交流しようじゃないか」と東京から出張してくるトップの意向があり、バイキングスタイルの立食にしよう、と話が決まりました。大命降下、ぼくが担当することになったんです。
 

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おまかせあれ! 
現地政府や共同操業パートナーとの会議やパーティを何度か開催して、ホテルのバンケット担当者ともすでに仲良しになっていました。

"We are planning to hold a buffet party this time."
「今回は、ブフェ(ビュッフェ)パーティにしようと思ってるんだ」

バイキングって、英語では言わないんです、buffet ビュッフェっていうんだもんね、ふふふん〜♬

デザートは、マレーシアの果物をふんだんに、あ、ストロベリーとチョコレートのアイスクリームもつけてね!

いい気になってましたね。

さて、会議も終わり、休憩を挟んで夕刻からのパーティ。その設営準備の様子を確認に、パーティ会場のボールルームに来てみると.........
 

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椅子とテーブルが並べられてある! ちゃんと、ナイフスプーン、ナプキン、グラスもそれぞれの席に...... 要は、結婚式の披露宴会場みたいに、
 
ビシッと着席パーティの準備ができていたんです!  モヒャ━━(゜Д゜Uu)━━!!!!!!

なんで? 立食だよ! ブフェって、確認したよね!!

はい、そうなんです。

ブフェには、standing:立食 と seated (table):着席、どちらでもあるんですね〜
要するに、基本、自分で料理を取りに行くのが、ブフェ、それだけなんです。

ホテルの方は、マレーシアと日本のお偉いさんが来るので、「当然」テーブルに着席してのパーティだと思い込んでいました。

こちらも、ブフェは、「当然」立食と思い込んでいて、standing buffetとは特定していなかったんです。

「椅子、片付けて! 立食で行くから!」

「Tidak apaapa la...! ディダ・アパアパ・ラー (まあまあ、リラックスしなよ〜) ヘ(゚∀゚ヘ)」

マレー語でつぶやきながらも、ホテルの係りの人たちは、笑顔で手伝ってくれました。ぼくのミスなんですけど、マレーシアはいい人が多いんです。

でも、料理は、フォークナイフを使っていただくものも多くて、立食では手軽に食べられないものでした。

上司に報告すると、えれ〜怒られました。当然のことながら......(ノω・、)
 

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英語に溺れて、ちょっと現地に慣れたという過信、うぬぼれ、一知半解の徒、であります。

急遽、イスを片付け、テーブルを作り直して、会場の立食形式は整えましたが、食事のメニューはそのままです。作り直しをする時間も費用もありません。

なんとか、パーティを始めました、ってか、始まりました。

日本からマレーシアに出張してきた、石油開発部門のトップ、Y-副社長は、ふと、

「立ち食いだと、この肉、食いにくいな......(・_・).......」

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いまでは、笑い話ですが、当時は相当焦りました。
 
たとえば、
「いろんな人と、カジュアルに話がしたいからブフェ形式にしたい」ってぼくが言っていれば、
「?? それなら、 standing buffet 立食ビュッフェ、ですね?」 とホテル側も確認することなったはず。

いやいや、思い出しても、冷や汗が出ます。


・人は、得意と思っているところで失敗する。
・説明は、こちらの意図の背景を含めて丁寧に。

パーティの後、お客さんが皆退席して、片付けが始まった会場で食べた、毒々しいピンク色のストロベリーアイス、味は忘れてしまいました。

 

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